<第2回>中東情勢による影響について
こんにちは!商品企画課の田口です。
毎月、新商品の施工に役立つ情報をご紹介しています。
前回は中東情勢によるナフサ調達難が各業界に与える影響を幅広くご紹介しました。今回は建設業界に絞り、現場で何が起きているかをより詳しくお伝えします。
1.現在の情勢概要(2026年4月25日時点)
まずは現在の中東情勢の状況を整理してみました。
4月25日時点のホルムズ海峡危機は「停戦が延長されたので物流が正常化する」という意味ではなく、米国によるイラン港湾向け船舶の封鎖、イラン側の商船拿捕・通航料主張、船社・保険市場の慎重姿勢が重なった「条件付きの通航」の状態です。
ホルムズ海峡は戦前比約95%減という通航量水準が続いており、イランが提示した「核問題を先送りし海峡再開を先行させる」和平案もアメリカ側に拒否されたことで、短期的な正常化への道筋は依然として見通せない状況が続いているといえるでしょう。 
2.今回の「建材ショック」とは何か
2026年2月28日のホルムズ海峡「事実上の封鎖」から約2ヶ月が経過し、建設業界への影響はより深刻な様相を呈しています。これまでの資材ショック(2021年のウッドショック、2022年のウクライナ起因の資材高騰)との最大の違いは、「価格が上がる」だけでなく「そもそも物が届かない」リスクが現実化している点です。日経クロステックは今回の事態を「建材ショック」と表現。業界全体に前例のない混乱が広がっています。
3.住宅設備大手の供給状況
以下は2026年4月時点の主要メーカーによる公式発表をもとにまとめた状況です。
TOTOが受注停止に踏み切った直接原因は、ユニットバスの壁・天井に使うフィルム接着剤と、コーティング剤に含まれる有機溶剤の不足です。わずか数千円の接着剤が業界全体を止めたといっても間違いではありません。 これらはナフサを原料としており、ホルムズ海峡封鎖の影響を真っ先に受けました。
4.主要電材メーカーの状況
一部主要電材メーカーにおいても、「受注停止」「数量制限」が発生しているメーカーが出ています。また3月時点で「影響なし」と回答していたメーカーが4月に入り影響が発生した例もあります。
5.主要ケーブルメーカーの状況
ケーブル・電線分野では矢崎エナジーシステム・SFCCの2社が「影響あり」を明言し、価格改定・受注制限が一部発生しています。
6.なぜ「物が届かない」のか ─ 構造的な脆弱性
今回の供給危機は、単なる価格問題ではなく、日本の石油化学サプライチェーンの構造的な脆弱性が露呈したものです。
①ナフサの備蓄が少ない:
日本は原油の備蓄(約230日分)は国として保有していますが、ナフサは備蓄制度の対象外であり、この点は、資源エネルギー庁 が公表する石油備蓄制度においても整理されており、ナフサは主に民間在庫に依存している資源です。そのため、輸入が滞った場合には、比較的短期間で需給が逼迫する可能性があります。
②海外情勢による供給の不安定化:
日本は輸入ナフサの約12%を韓国から調達していましたが、韓国政府は2026年3月27日にナフサ輸出を5ヶ月間全面禁止する措置を発動。代替調達先の一つが封じられた形になりました。
③医療への供給優先:
2026年3月30日、政府は「石油製品の医療優先供給」方針を発表。生命に直結する医療を最優先するのは当然ですが、建設・リフォーム向け資材の優先度が相対的に下がることを意味します。
7.まとめ
今回の建材ショックは「そもそも物が手に入らない」という点で、ウッドショックやウクライナ起因の高騰とは質的に異なる危機です。4月下旬現在、主要設備メーカーの受注は再開の方向に向かっており、政府の流通支援も一定の効果を上げています。
また、経済産業省は「ナフサそのものが不足しているわけではなく、不安などから原料が目詰まりを起こしている」との見解も示しています。 情報の錯綜がサプライチェーンの混乱に拍車をかけた側面もあるといえるでしょう。
今回は以上となります。
当社ホームページでもメーカーの中東情勢による影響について随時掲載しています。最新情報はぜひホームページよりご確認ください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。






