こんにちは!商品企画課の千葉です。
毎月、新商品の施工に役立つ情報をご紹介しています。
今月はホルムズ海峡「事実上の封鎖」とナフサ調達難の影響についてご紹介いたします。各業界の影響について取り上げていますので、ぜひご覧ください。
2026年2月28日、米・イスラエルがイランへの大規模攻撃を開始。イランは報復としてホルムズ海峡の船舶通過を実質封鎖しました。
日本は原油の約9割、ナフサの約7割以上を中東(イラン・UAE・サウジアラビア・カタール・クウェート)に依存する構造にあり、石油化学メーカーはエチレン減産を余儀なくされ、川下製品の値上げ・出荷制限が各所で始まっています。
4月中旬現在、政府の備蓄放出と代替調達により大規模な途絶は回避されていますが、長期化リスクは依然残っています。
ナフサは石油製品の一つで、石油化学基礎製品の原料です。ガソリンに似た透明な液体で「粗製ガソリン」や「直留ガソリン」とも呼ばれていて、日本では石油化学工業の基幹原料として最も重要な位置づけにあります。日用雑貨・食品包装材・衣料品といった身の回り製品から、自動車、家電・電子機器など幅広い製品の出発点となっています。
現在のところ、国内の石油化学製品については、全体で2か月程度、ポリエチレンやポリプロピレンといった主要石油化学製品では国内需要の3か月から4ヶ月程度の在庫が確保されていて、直ちに供給困難となる状況ではないと認識されています。
(出典:石油化学工業協会「ペルシャ湾情勢に関する石油化学工業協会コメント」)
三菱ケミカルグループ(茨城・エチレン稼働率低下)、出光興産(千葉・山口の2拠点で減産)、三井化学(千葉・大阪の2拠点で減産)など、大手が相次いで減産または稼働率の低下を発表しています。三井化学はポリエチレン・ポリプロピレンを1キロあたり90円以上値上げすることを発表。韓国、台湾、シンガポールの石化メーカーも不可抵力による減産に追い込まれていて、アジア全域に影響が広がっています。
大手総合科学メーカーのカネカは、住宅用断熱材「押出法ポリスチレンフォーム」の製品価格を4月出荷分から40%引き上げると発表。住宅設備大手のTOTOは、システムバス・ユニットバスの新規受注停止を明らかにし、再開の目途は現時点で立っていません。
LIXILも供給条件の調整可能性を表明するなど、業界全体に波紋が広がっています。
電気工事で使用するケーブル(被覆)、電線管、絶縁材料、塗料・シンナーなどの多くはナフサを原料とするため、今後も価格高騰や工期遅延が懸念されます。
当社ホームページでもメーカーの中東情勢による影響について掲載していますので、ぜひご覧ください。
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ナフサ由来の樹脂・プラスチック・合成ゴム・塗料を中心に、サプライチェーン全体への影響が広がっています。自動車1台あたり石油化学製品が重量の15~20%を占めるため、部品不足やコスト増が生産・修理に直撃してします。
日本ペイントのシンナー価格が75%値上げしたことにより、板金塗装現場などで「塗装できない、塗料が手に入らない」状況も発生しています。
また、中東向け輸出分を削減など生産・販売両面でも大きな影響が出ています。
多くの医療資材が石油由来(ナフサを原料としたプラスチック・合成樹脂)で製造されています。透析回路(チューブ)、廃液容器、注射器手袋、輸血パックもPVCやポリプロピレン等から作られていて、供給の偏りや価格高騰が生じています。
一部の病院ではすでに値上げを実施したとの報告もあります。現時点では「深刻な全国的な不足」は回避されていて、在庫で対応できているケースが多いですが、長期化すれば現場で逼迫する恐れがあります。
食品トレー、弁当容器、ペットボトル、ゼリーカップ、ラップ・フィルムなどは、ナフサ由来のポリエチレン、ポリプロピレンなどから作られています。民間の信用調査会社・帝国データバンクによると、4月1日から値上げとなった食品は2,798品目に上がり、月に2,000品目を超えるのは半年ぶりのことです。「燃料コスト」と「原料コスト」のダブルパンチにより、原油価格上昇で消費者物価上昇率が0.25~1.26ポイント押し上げられ、二人以上の勤労者世帯では年間支出が最大約5万円増える可能性があります。
尿素・リン酸・カリなど主要肥料の国内生産シェアは低く、原料の大部分を海外からの輸入に頼っているため、供給網が途絶すれば在庫が尽きた後は製造できなくなるリスクがあります。全国農業協同組合連合会(全農)は肥料備蓄能力の拡大に向けて動いていて、現時点では原料をなんとか確保しているものの、尿素の市況高騰への対応が急務となっています。
今回のホルムズ海峡「事実上の封鎖」は、単なるエネルギー問題にとどまらず、私たちの日常生活や産業活動の広範な領域に影響を及ぼす事態となっています。
石油化学・住宅・自動車・医療・食品・農業と、ナフサを川上に持つサプライチェーンは想像以上に幅広く、「中東情勢は遠い話」とは言えない状況です。
現時点では主要石油化学製品の在庫がある程度確保されているため、直ちに深刻な供給不足に陥る状況ではありません。
しかし、長期化した場合のリスクは各業界・各家庭に確実に波及してきます。今後の情勢は依然として流動的であり、早期収束から更なる悪化まで複数のシナリオが想定されます。
企業においては、在庫状況の把握・代替調達先の検討・不可抗力条項の確認など、今できる備えを着実に進めることが重要です。
消費者の立場でも、物価上昇が続く可能性を念頭に置いた生活設計が求められます。
引き続き、当社では中東情勢とナフサ・資材調達への影響について情報収集・発信を続けて参ります。最新情報は随時ホームページにてお知らせいたしますので、ぜひご確認ください。
今回は以上となります。
中東情勢は地理的には遠方に位置するものの、エネルギー価格や為替、原油不足などを通じて、私たちの生活にも大きな影響を及ぼしています。今後の情勢次第では、さらなる影響拡大や生活面への支障も懸念される状況です。最新情報を的確に把握し、迅速な対応を図ることが重要です。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。