<第1回>エアコン2027年問題について

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こんにちは!商品企画課の千葉です。

毎月、新商品の施工に役立つ情報をご紹介しています。

今月のテーマは「エアコン2027年問題」です。2027年、家庭用エアコン業界に大きな転換期が訪れようとしています。省エネ基準の大幅な厳格化により、今私たちが当たり前のように選んでいる普及価格帯モデルが、市場から姿を消すかもしれません。制度改正の内容と、影響について詳しくご紹介いたします。





1.エアコン2027年問題とは

エアコンの「2027年問題」とは、2027年4月から家庭用エアコンに適応される省エネ基準が大幅に厳格化され、基準を満たさないエアコンの製造・販売できなくなる問題を指します

経済産業省が推進する「トップランナー制度」(省エネ法に基づく)により、家庭用エアコンの省エネ基準(APF:通年エネルギー消費効率)が大幅に引き上げられ、現在発売されている普及価格帯モデル(低~中価格帯のもの)が、基準を満たせなくなり、2027年4月以降は姿を消す可能性があります




2.省エネ基準改正の背景

省エネ基準改正の背景には、2050年カーボンニュートラルの実現という国家目標があります。
日本政府は2020年10月に"温室効果ガスの排出を2050年までに実質ゼロにする方針"を宣言し、その中間目標として2030年度までに2013年度比で46%削減することを掲げています。

家庭用エアコンは家庭部門のエネルギー消費量の約25〜30%を占めており、その効率向上はCO₂削減に直結する重要な施策と位置づけられています。資源エネルギー庁の試算では、新基準の達成によって年間約280万トン、約120万世帯分に相当するCO₂削減が見込まれています。

今回の基準改正は、1999年に導入された「トップランナー制度」に基づくものです。
この制度は、市場で最も優れた製品の性能を数年後の最低基準とすることで、業界全体の省エネレベルを強制的に引き上げる仕組みです。エアコンについては2010〜2012年度目標の基準が長らく続いていましたが、インバーター制御の進化や熱交換器の高効率化といった技術の進展を踏まえ、メーカーの製品開発サイクル(通常2〜3年)を2回程度確保した上で、2027年度を新たな目標年度に設定しました。

2022年5月に経済産業省が告示を公布し、壁掛け形エアコン全体で2016年度比約13.7%の効率改善を目指す内容が決定されています。特に普及機種が多い4.0kWクラス(14畳用)では最大34.7%の改善が求められており、これは過去の基準改正では改善が停滞していたため、大幅な底上げが必要と判断されたためです




3.APF基準について

3-1.基準の改善率

省エネ性能の指標はAPF(通年エネルギー消費効率)で測られます。APF=1年間に必要な冷暖房能力の合計÷1年間に消費する電力量の合計で算出され、数値が高いほど省エネ性能が高いことを意味します。経済産業省の告示に基づき、現行基準と2027年度目標値を冷房能力別に比較すると以下のようになります。


(引用:経済産業省の家庭用エアコンディショナーの新たな省エネ基準より)



3-2.新基準のポイント

①寸法規定(室内機の横幅寸法800mm以下且つ高さ295mm以下)がなくなり、寸法フリーとなりました。
これまでは寸法規定を満たした製品が多い傾向でしたが、今後は様々な寸法の製品が出てくる可能性があります
②「寒冷地仕様」の省エネ基準の区分が新設されました。
2050年のカーボンニュートラルの達成に向け、寒冷地におけるエアコンの普及促進を意識して設定されました


寒冷地では暖房使用が中心となり、積雪や低温環境での耐久性向上(例:霜取り機能の強化や低温時暖房能力の確保)が求められるため、省エネ基準を厳格にしすぎると普及が妨げられる可能性があります。基準を緩和することで、寒冷地でのエアコン普及を促進する狙いがあります。

寒冷地仕様では、APF目標が下げられており、メーカー側が低温環境対応の設計を優先しやすくなっております。
寒冷地仕様のAPF目標は以下の通りです。


(引用:資源エネルギー庁のホームページより)




4.消費者に与える影響

4-1.短期的な負担増と長期的なメリット

新基準の導入により、消費者にとって短期的な負担増と長期的なメリットが混在します。

最も直接的な影響は購入費用の増加です。現行の普及価格帯、5万~10万クラスのスタンダードモデルの多くが新基準に満たせないため、製造・販売ができなくなります。6~8畳用の本体価格を例にとると、現行の普及モデルが8万~12万程度であるのに対し、2027年以降は12万~18万前後になると予想されています

一方、長期的には電気代の削減というメリットがあります。
省エネ性能の指標であるAPFの向上により、同じ使い方でも消費電力が大きく減ります。6畳用(2.2kWクラス)では、現行APF5.8から新基準APF6.6に改善されることで年間2,700円の節約が見込まれ、14畳用(4.0kWクラス)では、改善率が最大34.7%に達するため、年間1万円を超える差が出るケースもあります。10年間の使用で考えると、初期費用の差額を電気代の節約で回収できる可能性は十分にあります。


4-2.室外機大型化による影響

家庭用エアコンの室外機が大型化・重量化する傾向が強まっています。

省エネ基準の向上を実現するには、熱交換器(フィン)の面積を拡大し、コンプレッサーや関連部品を強化する必要があるためで、これは効率を高めるうえで避けられない設計変更です。現行のスタンダードモデルと比べて、幅・高さ・奥行で10~30%程度のサイズアップ、重量で1.5~2倍近くになることが予想・報告されています

消費者への影響として最も多いトラブルとして挙げられるのが、設置場所に収まらなくなるリスクです。
ベランダやバルコニーのスペースがギリギリだった場合、新モデルが物理的に入らないという事態が起こりえます。現行モデルの室外機の幅が700mm前後であるのに対し、新基準モデルでは800〜900mmを超えるケースも想定されています。

設置不可となれば、架台の追加や壁掛け・屋根置きといった特殊な設置方法が必要になります。特に集合住宅のベランダで天井が低かったり、隣室との隙間が少なかったりする場合には問題が起きやすく注意が必要です

また、設置工事にかかる費用も増加する可能性があります。室外機の移動や架台の新設、配管の延長といった特殊工事が必要になると、通常の標準工事費に加えて、追加費用が発生することもあります。従来は一人で運搬できていたエアコンでも、サイズの大型化に伴い、作業員を増員しなければ対応できないケースが考えられます。


4-3.駆け込み需要による一時的な混乱

「今のうちに安い現行モデルを買っておこう」という心理が広がり、故障してから買い替えるのでなく、予防的に動く人が増えています。

エアコンの年間販売ピーク(ゴールデンウィーク前後~夏)が重なるため、需要が爆発的に集中しやすい状況です。需要が集中することで、商品の品薄・在庫切れが発生する可能性があります。また、設置工事の遅延も深刻な問題です。空調工事店への予約が殺到し、工事まで1か月待ちという状況にもなるかもしれません。

早めに行動することが最も効果的な対策です。





今回は以上となります。
2027年問題は、今まさに動き始めている変化です。購入費用の増加や室外機の大型化など、消費者への影響は決して小さくありません。

一方で、長期的な電気代の節約や環境負担の軽減といったメリットも確かに存在します。
重要なのは、正確な情報をもとにご自身にとって最適な購入時期を判断することです。

次回は現行機種で新省エネ基準を達成している商品などをご紹介します。最後までご覧いただきありがとうございました。

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